web業界の見積りの話

先日湯船に浸かろうと思ってお風呂を沸かしたら、ぬるくてまいったフジカワです、こんにちわ。
いつもお風呂にお湯を張る時はボイラーの温度設定を変更してからやるのですが、それを忘れてしまい、通常設定温度の38度のお風呂となりました。「これはムリ」ということで、やかん、鍋でお湯をぐつぐつと沸かして湯船に投入するも「逆焼け石に水」。ぜんぜん効果なし。結局無駄に景気良く洗濯機を3回しました。

北海道ウェブコンソーシアムに行ってきた

月に一回くらいのペースでweb業界の方がスピーカーとして色々と話を聞かせてくれる北海道ウェブコンソーシアム。昨日それに参加してきたのですが、今月のテーマは「見積り」。以前、プロダクションで働いていた僕としても色々と苦労したことが多かったんで、興味深く聴講。セミナー終了後の飲み会で話した内容も併せて感じたことを残しておこう。

以外におろそか、見積り

この業界はどちらかというと「好き」でやってる人が多い。あまりお金には執着しないタイプの人が多かったりするので、業務が発生するときの見積りにも時間を割かなくなりがち。「そんなことに時間割いてる暇があったら少しでもソース書きたい、デザインしたい」みたいに考える人は多いと思います。
個人事業ではそれでもよいかもしれませんが、会社経営ともなるとそうはいきません。会社に所属している社員もそんな意識では良い仕事はできないでしょう。クリエイターとしてはともかく、コスト意識という点においては社会人失格です。

良い仕事できる人は良い見積りをつくる

仕事とは「品物の納品に対して対価(報酬)をもらう事」です。10やったら10もらう。30やったら30もらう。当然のこと。じゃぁ、「10やったのか、30やったのか、はたまた100やったのか」ということをやった本人は認識してるでしょうか?
納品する品物を作るために動いた時間、考えた時間、購入した機材、動いた距離、全て把握してるでしょうか?
見積りはそれを数字に落とし込んだものなので、良い見積りを作るにはちゃんと「その案件に自分が割いた全てのコスト」を明確に出来なければなりません。
ここで言う良い仕事とは「やったことがしっかりとお金になる」という当たり前の原則。
遊びであればお金は気にしなくて良いですが、仕事ですから。
適正なプライスで取引するようにしないと、クライアントにも他のweb企業にも失礼です。
業界自体の衰退に繋がる根本的な課題の一つであるとさえ言えます。
というわけで「良い見積り」を作れる事が「良い仕事」の第一歩です。

業務内容を細分化して切り出すことが大切

それじゃどうやって「良い見積り」を作るか、ということですが、超シンプル。
できるだけ詳細に「やったこと(やる予定)リスト」を細分化し、まず書き出す。
「やって当たり前」ということも全て書き出す。作成前のミーティング時間も、打ち合わせ場所までの交通費も、作り終わった後の各種ブラウザチェックも、納品用ブランクメディア代も。
で、超シンプルとはいいながらも、これが以外に難しい。当たり前のようにやってる事を改めて書き出すというのは骨が折れる。一日何回呼吸してるか、なんて自分で記録してる人いませんね、そんな感じ。でも頑張りましょう。案件に関わる全ての時間コストは数字に落とし込まなければなりません。だって全て「業務」に関わる時間ですから。
逆に言うと、これをしっかりとできないようであれば、「案件に対して発生するコストを意識していない」と言えます。
ざっくりと「○日掛かったから一式○○万円」なーんて見積りでは、値引きの良いターゲットになるだろうし、クライアントには理解してもらえないでしょう。
この作業、プロジェクトマネージメントの手法の一つでWBS(Work Break Structure)と言うようです。

クライアントのことを考える

クライアントはweb屋じゃないケースがほとんどのはずです。web屋なら自分で作るだろうし。ということは、見積りを見てもらう際、「web製作にはどんな作業が必要で、それぞれにどのくらいのコストが発生するのか」をちゃんと理解していただく必要があります。じゃないと担当者は上の人間にコストの説明ができないだろうし、そうなると当然ながら稟議も通りません。
1.どんな作業がどのくらいあるからいくらである。
2.それをやると今までよりもこんなメリットがある。
3.1と2のROI(費用対効果)を考えるとやるべきである
という部分を明確にできれば、「よくわからんけど200万掛かる」ではなく「500万掛かるけど1000万儲かる(のと同等の価値がある)」という方向に話を運ぶことができます。
予算との折り合いが付かなければ、業務自体の「やる」「やらない」の判断の前に、機能やプロセスの見直しで「どうやってやるか」という方向での調整をすることも可能になります。
つまり、正確で詳細な見積りを作る、というのはクライアントのためにも非常にプラスに働くということが言えます。

改めて見つめ直す良い機会

とはいえ、ひとつひとつ全ての作業を見積りに反映させるとA4何ページになるか分かりません。金額を現実的な部分に落としこむ段階では「単価300円」みたいな作業も発生しかねず、それはそれで問題です。
あくまでも見る側の立場になって一般的な見積りを考えたとき、「納得しやすい見積り」というポイントで項目出しをするのが一番よいかもしれませんね。例えば携帯の請求書や、プロバイダーからの請求書も参考になるかもしれません。
・自分がどういった作業をしていて、それらにどのくらい時間を費やしているか
・自分は業界内のどのくらいのポジションにいて、付加価値としてどのようなスキルがあるのか
・自分はいくら欲しいのか
・で、それらを統合して考えるとその見積りはいくらになるのか
・それは納得してもらえる内容であり、価格なのか
なーんてことを改めて見つめ直すと、以外に面白い発見がたくさんあるかもしれません。

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