思った事|13歳の息子への新しいiPhoneと使用契約書の話

喧々諤々

僕にとってはもう少し先になるけど、何となく考えておきたい話。
13歳の息子へ、新しいiPhoneと使用契約書です。愛を込めて。母より(Hana.bi) – BLOGOS(ブロゴス)

みんな色々言ってるので僕も色々言ってみるの巻。

最初のメッセージがちゃんと伝わればそれで十分

メリークリスマス!あなたは今日からiPhoneの所有権を持つことができます。やったね!責任感のあるお利口な13歳なので、このプレゼントはあなたに相応しい。しかし、このプレゼントと受理すると同時にルールや規則が付いてきます。以下の使用契約をゆっくり読んでください。私の親としての仕事も分かって欲しい。あなたを健康で豊かな人間性を持った、現代のテクノロジーうまく活用していける大人に育てなければならないといことを。以下の規則を守ることができなかった場合、あなたのiPhone所有権も無くなります。

あなたが大好きでたまりません。あなたと何百万個ものメッセージ交換をするのが楽しみです。

13歳の息子がiPhoneをずーっと欲しがっていたことが想像できます。
そして念願のiPhoneを手にすることができる息子に対してこんなメッセージまで用意してあげられる親はそんなに多くはないでしょう。
まずその時点で親の愛情は息子に十分に伝わるのではないでしょうか。
個人的に大切なのはそこだと思っていて、ルールの内容云々よりも「親はあなたを愛しているよ」ということが子供にしっかりと伝わっていれば、おのずとiPhone自体やiPhoneを通じた他人との付き合いもしっかりしたものになっていくのだと思います。
もし息子さんがこのメッセージを「あー、だりーな、はいない」ってスルーしないで読んでくれるようであれば(もしくは親子がそういった関係性を築いていれば)、それで十分かなと思います。
逆に、見てくれないような息子さんであればルールという名の注意喚起は必要だなぁとも思います。
ということが、前提。

ルールの存在には基本賛成

本件に関しては当たり前に賛否両論さまざまですが「ただ与え、自由に使わせる」という選択肢は僕にはできそうにありません。ルールは必要と考えます。
「親としての資質に欠けてる」とか「自分の子供を信じていないのか」とか言う方には「そうかもしれない」としか答えられませんが、やはり子供の成長には親の責任が伴なうし、自分が子供の頃の事を振り返ってみても、やはりある一線を越えることを未然に防ぐ仕組みづくりは必要だと思うからです。
年齢によってそのルールは都度変更していくのが良いでしょうが、13歳ならこの程度のボリュームのルールは総論賛成です。各論は後ほど。
もちろん常に様子は見るでしょう、親の目から見て問題なく使えているようであれば、たとえば夜の時間を延ばしてあげるとか、イレギュラーな事故で端末が壊れた場合には多少の金銭的援助をしてあげるとかね。
設定したルールをガチガチに守らせるようなことはなく、基本的スタンスとして最初にこうやってルールを設けるのは13歳にとっては必要なんじゃないかなぁと思います。

僕ならそもそもiPhoneを与えないかも

そもそも僕なら13歳の息子にiPhoneを与えることに抵抗を感じてしまいます。
もしこのお母さんも僕と同じように感じていたとしたら、それなりに思い切った決断なんじゃないかと想像します。
緊急連絡用に通話ができて、日常の連絡用にメールが使えればそれでことが足りるのであればいわゆるガラケーで十分。
しかしもしかすると学校や学外活動など、彼女の息子が参加しているコミュニティではスマホの所有割合が高くなっていており、その仲間達との付き合いという意味でiPhoneの所有が必要になっている。そんな状況も十分に考えられます。そして息子さんからの要望に対してお母さんも悩みに悩んだ結果としてiPhoneを13歳の息子に持たせる決断をした。仮にそんな経緯やバックグラウンドがあった末でのiPhoneであったとしたら、親としての心配がこういう形でルールに現れるのは理解できます。
いやー、僕なら持たせられないなー、iPadやiPod touchですら怪しい。ネットはリビングのPC限定、みたいな。なんと古いタイプの親だこと。

個別のルールについての感想

個別ルールについて思うところを。ルールへの意見ではなくなっちゃってるところもあります。

1.これは私の携帯です。私が払いました。あなたに貸しているものです。私ってやさしいでしょ?

これは要らない。もしかしたら海外式のジョーク的ニュアンスが含まれているのかもしれませんが、僕が息子ならドン引きするうえに自分の親のあつかましい一面にガッカリする。

2.パスワードはかならず私に報告すること。

緊急時のために当然必要。本人いない、電話だけ残ってる。そんな状況になったら警察やキャリアに問い合わせてる時間も惜しい。SNSや通話履歴から本人の居場所のヒントになるような情報を集めるためにもこれは持っておきたい。

3. これは「電話」です、鳴ったら必ず出ること。礼儀良く「こんにちは」と言いなさい。発信者が「ママ」か「パパ」だったら必ず出ること。絶対に。

親からの連絡は出るべきでしょう。海外だと日本だと考えられないような類の危険もありますので。「子供が親からの電話に出ない時にはどのような事が起こりうるのか」ということがイメージできるようであればこのルールは必要ないかもしれません。

4. 学校がある日は7:30pmに携帯を私に返却します。週末は9:00pmに返却します。携帯は次の朝の7:30amまで電源オフになります。友達の親が直接出る固定電話に電話出来ないような相手ならその人には電話もSMSもしないこと。自分の直感を信じて、他の家族も尊重しなさい。

返却とか電源オフのくだりは昔の「テレビゲームは一日1時間まで」みたいなノリですね。後半の話は素敵。まぁ、親の希望以外の何物でもないですけど。

5. iPhoneはあなたと一緒に学校には行けません。SMSをする子とは直接お話しなさい。人生のスキルです。注:半日登校、修学旅行や学校外活動は各自検討します。

注釈部分が「あ、お母さん、ちゃんと考えてるんだな」と思わせます。

6.万が一トイレや床に落としたり、無くしたり、破損させた場合はの修理費用は自己負担です。家の芝生を刈ったり、ベビーシッターをしたり、お年玉でカバーしてください。こういうことは起こります、準備していてください。

モノを大切に扱わない傾向にある子供の場合、こういうことは事前に伝えることで良い方向に向かうと思う。というか、学ぶにはむしろ良い機会。どのみち遠くないうちに一度落として割れると思われるので、身をもって覚えるのも悪くないですよね。僕はこの手のリスクはミニ四駆で学びました(軽量化→破壊→お小遣いで再度購入→以下繰り返し)。

7.このテクノロジーを使って嘘をついたり、人を馬鹿にしたりしないこと。人を傷つけるような会話に参加しないこと。人のためになることを第一に考え、喧嘩に参加しないこと。

当たり前だと思うけど、意外に出来ていない人多いよね。特に大人。むしろ大人。

8.人に面と向かって言えないようなことをこの携帯を使ってSMSやメールでしないこと。

このルールは時には破ってもいいと思う。

9.友達の親の前で言えないようなことをSMSやメールでしないこと。自己規制してください。

このルールも時には破っていいと思う。

10. ポルノ禁止。私とシェアできるような情報をウェブで検索してください。質問などがあれば誰かに聞きなさい。なるべく私かお父さんに聞いてね。

このルールも時には破っていいと思う。時にはお父さんにも聞いてね。一緒に学ぼう。

11. 公共の場では消すなり、サイレントモードにすること。特にレストラン、映画館や他の人間と話す時はそうしてください。あなたは失礼なことをしない子です、iPhoneがそれを変えてはいけません。

海外特有の「あなたは失礼なことをしない子です」みたいな言い方があまり好きじゃないです。日本のトイレでもたまに見かける「綺麗に使っていただいてありがとうございます」みたいなやつ(ルールの話じゃないね)。「お前が決めるな」って思うんです。天邪鬼なんですかね。

12.他の人にあなたの大事な所の写真を送ったり、貰ったりしては行けません。笑わないで。あなたの高知能でもそういうことがしたくなる時期がやってきます。とてもリスキーなことだし、あなたの青春時代・大学時代・社会人時代を壊してしまう可能性だってあるのよ。よくない考えです。インターネットはあなたより巨大で強いのよ。これほどの規模のものを消すのは難しいし、風評を消すのも尚更難しい。

良くある問題。僕も含めてこのリスクの高さたるや。子供に理解させるのはなおの事難しそう。ルールで規制するというか、実例を幾つか実際に見せていかにそれが危ないことかを感じてもらうのが一番良さそう。

13.写真やビデオを膨大に撮らないこと。すべてを収録する必要はありません。人生経験を肌身で体験してください。すべてはあなたの記憶に収録されます。

写真やビデオは沢山撮って欲しい。その時にはどうでも良いと思っていた瞬間や風景、会話なんかが将来一番懐かしく思うので。肌身で体験することをリアルタイムで記録するのが一番。ついでに言っておくとネットでの仮想体験でわかったつもりになるのはやめてね。

14.ときどき家に携帯を置いて出かけてください。そしてその選択に自信を持ってください。携帯は生きものじゃないし、あなたの一部でもありません。携帯なしで生活することを覚えてください。流行に流されない、FOMO(自分だけが取り残されるていると思ってしまう不安感)を気にしない器の男になってください。

将来携帯を家に忘れて慌てふためかないようにするトレーニングとしては有効。

15.新しい音楽、クラシック音楽、あるいは全員が聞いている音楽とは違う音楽をダウンロードしてください。あなたの世代は史上もっとも音楽にアクセスできる世代なのよ。この特別な時代を活用してください。あなたの視野を広げてください。

上記の3つ以外ってどんな音楽なんだろう。という話はさておき、色んな音楽を聴いて欲しいなとは思う。でも数ばかり聴いても音楽はつまらない。30歳になっても40歳になっても、「このアーティストが大好き!」ってのを見つけて欲しいな。

16.ときどきワードゲームやパズルや知能ゲームで遊んでください。

別にやらんでいいよ。知能は別のところで身につけてください。

17.上を向いて歩いてください。あなたの周りの世界を良く見てください。窓から外を除いてください。鳥の鳴き声を聞いてください。知らない人と会話をもってみてください。グーグル検索なしで考えてみてください

コレ大事。全部大事。このルールの中で一番大事。ネットからのインプットとそれ以外からのインプット、両方揃って初めて豊かな人生になると思う。もちろん両方へのアウトプットも。

18.あなたは失敗する。そのときはこの携帯をあなたから奪います。その失敗について私と話し合います。また一からスタートします。あなたと私はいつも何かを学んでいる。私はあなたのチームメイトです。一緒に答えを出して行きましょう。

賛否両論ありそうだけど、何かしらの問題について親子で話し合いがちゃんとできてる家庭が日本にどれだけあるか。こういうスタンスで子供と向き合えている家庭がどれだけあるか、それを子供に宣言できてる家庭がどれだけあるか。「ウチの子供は解ってる」って安心したい親御さん、多分お子さんは解ってませんよ。

ルール自体に賛成反対ではなくて、その内容を個別に検討したい

繰り返しになりますが「ルールを設けること自体については賛成」というのが僕のスタンス。
あとはその内容を個別に見ていって、自分の子供達がいつかiPhoneなり、その時のデジタルデバイスを手にする時に最適なルールを設けたいなと思っています。
もちろん子供達の性格にもよるでしょう。同じ13歳でもそれぞれに最適解は異なるので、もしかしたらノールールになるかもしれませんし、もっと厳しいルールになるかもしれません。
インターネットに触れていると、その便利さの裏に潜む恐ろしさも時折垣間見えます。そして子供達はその好奇心の高さから、軽々と超えるべきではないその一線を越えていきます。
子供達にとってのルールとは「破るためのもの」なのですから(僕だけですか、そうですか)、「”超えるべきではない一線”が”超えるべきではない一線”であることを意識させる」というのがこのルールの主な目的なのかなぁなんてこの文章を書きながら感じました。

ぱっと思ったようにだらだら書いたので、この考えは将来変わるかもしれません。

コメントを残してみる

コメント