いずれにせよブランディングは向上する|採用サイト

家が書類だらけのフジカワです、こんにちは。さーて、どうしようかなぁ。あ、独り言です。

「信頼」が一番

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採用スケジュールに関する重要なお知らせ

昨今の社会情勢(経済情勢と言ったほうがいいのかな)が要因となる企業の現状をオープンにし、
採用活動開始時期を見直すという学生向けの告知。
かなりの部分で情報をオープンにしている点にとても好感が持てます。
(「学ぶ機会を奪ううんぬん」のくだりは後付けな気もしますが…)

■企業は…
・昨年同時期の内定取り消し問題を繰り返さないために、今年の採用活動方針に迷っている
・一方、文中にもあるように、モタモタしてると他社に優秀な人材を取られるのではと心配している

■学生は…
・同じく昨年の内定取り消し問題があるので、就職希望企業の選定に慎重になっている
・つまり、「信頼」できそうな企業へのエントリーを第一に考えている

この両者の希望を一度に満たす解決策を見事に実践していますね。
企業側は採用活動の開始を遅らせることで、有る程度業績の計画が見えてから採用予定を組み立てることができる。
学生側も、内定貰ってから取り消されるよりもずっと安心できる。
というわけです。

さらに、学生側にとってはこの企業側の対応がとても正直に感じるのではないでしょうか?
一般的に大企業は外に向けて弱みを見せることを極端に嫌います。株価に大きな影響を与えるからです。
しかし文中にあるような内容は実は誰でも知っていることです。
市場的には当たり前の事実で、サブプライム、ドバイショック等の影響を受けているのは何もキャノンマーケティングジャパンだけではないことも承知です。
実際はこんな文章一つで株価に影響を与えることはほとんどありません。
それでも、こういったカタチで企業の現状を正直に出し、そのうえで採用活動の時期を見直すという文章をオープンにすることは、学生達にとってはとても魅力的な企業に映るのではないかと思います。
僕ならよだれが出ます。
「あ、この会社に入りたい。ここで頑張りたい。きっと社員を大切にしてくれる」と(実際はわかりませんが)。

というわけで、恐らく多くの学生はキャノンマーケティングジャパンに良い印象を持つものと思います。
少なくとも悪い印象をもつことは無いでしょう。もちろん4月から採用活動を始める他社へのエントリーもするとは思いますが、夏を待ってこの会社にもエントリーする学生も多いと思います。両方の内定を貰った場合、キャノンマーケティングジャパンを選択する学生も多そうです。なぜならこの時点で学生達の「信頼」を手に入れているからです。

この作戦(という言葉が妥当かどうかはわかりませんが)のポイントは、
「どこよりも早く公表する」ということに尽きます。
他企業に先駆けて公表することで、就職活動開始目前の不安な学生市場の心を鷲掴みです。
企業スペックや採用条件では手は出させても、心は掴めません。
金に踊らされて去年痛い目をみた先輩を見てきた今年の学生達は、それよりも「安心」を重視しています。

他企業も昨年の反省から、今年の採用活動は大きくやり方を変えてくる可能性は十分にあります。
「一定期間会社の業績を見てから採用計画を立て、採用予定数が確定してから活動を開始します」
というキャノンマーケティングジャパンと同じやり方を、どのように
「学生達にとって、より魅力的に感じる」方法で伝えるのか、理由付けをしてくるのか楽しみです。

Canonのブランディングも向上

で、残念ながらキャノンマーケティングジャパンに入社できなかった学生達も、
キャノンのロイヤルカスタマーになる可能性があります。
キャノンマーケティングジャパンもキャノンも実生活上の区別はほとんどありません。
「キャノンはキャノンでしょ」と。
採用活動で学生対してに真摯に取り組んでいる企業は、顧客に対しても真摯に対応すると考えるでしょう。
Webサイトという不特定多数が閲覧できるメディア上でこのような文章を掲載するというのは、そのくらいインパクトがあり、「誠実さ」を感じさせるものだと私は思います。
数年前から続いているパナソニック(旧松下電器)のストーブの件も同様です。
事故後のパナソニックの対応に好感を持った顧客はとても多いらしく、
あのTVCMは放送開始月の好感度ナンバーワンに選ばれたのも頷けます。

あとちょっとだけ

今回のような発表があったのも、大きな目でみるとWebのもたらしたスピード化、オープン化社会の恩恵な気がします。
少し前なら絶対にこんな形での発表は無かったものと思います。それが現在のWeb普及によって、
・どうせ隠してもすぐにバレる
・同時進行で他社との比較が行われている
・ウチがやらなきゃそのうち他がやる
というようなWebの特性を理解した企業側の一つが先手を打ったカタチだと思います。

日本企業は正直を好みませんが、日本人は正直を好みます。
日本人相手に商売している以上、企業側の理屈はさておいて、顧客の心を掴むような販促活動を心がけたいものです。

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