ちょっと悔しい|W杯
W杯が終わってしまいました。あれやこれやと節操なく書いてるブログなので今回のW杯の雑感でも書いておきます。思い起こしてもドイツ・日韓・フランスと、どんどん記憶が薄れていってるので、忘れる前にガガッとね。
戦術の変更が成功
開催前は「何をしたいのかよくわからない」と思っていた日本のサッカーも、
いざ蓋を開けると思い切った戦術の変更で「しっかりと守りながらのカウンターサッカー」という明確かつシンプルなスタイルが相当機能していたように思います。
「つまらない」「退屈だ」という話もありますが、僕はこれで良かったと思っています。
日本のような「まだまだこれからの国」は、まずは「実績」や「世界とやれる自信」が必要です。
そのためには前述のスタイルをまずしっかりと実践し、「これならやれる」という結果を選手の中に植えつける必要があると思うのです。
その上で、残念ながら日本の最終戦となってしまったパラグアイ戦後半のような積極的なサッカーを少しずつ導入していけば良いと思うのです。
ただ、今のところ予想通り日本の積極的なサッカーはほとんど通用していませんでしたが。
一歩一歩階段を上がろう
いきなりスペインみたいな攻撃的なサッカーをやれと言っても無理な話です。
経験も、フィジカルも、スピードも、判断力も、全然違う。
イケイケガンガンで楽しいサッカーは魅せて貰えるかもしれないけれど、勝てない。運よく勝てたとしても、それは「その時たまたま上手く機能した」だけであって、蓄積する戦術ってのはさほどない。そんな博打みたいなスタイルは取るべきではないと思う。その時その時を楽しむのではなく、「一歩一歩確実に良くなっていく」サッカーを続けていくほうが、Jやこの先のW杯でもっともっと楽しいサッカーを観られるようになるはずです。
コミュニケーション
あと、すごく強く感じたのはW杯クラスのチームでもやはり「チーム内の和」というのは大切なんだな、と。
個々の能力がそれほどまで高くない日本がここまでこれたのは間違いなくそれがあったからだと思う。多くの日本選手がその点について発言していたし、ドイツの時の失敗の原因もそこにあったと中村俊介も言っていたように記憶している。そして他国を見ると、フランス、イタリアが完全にこれが原因で予選で姿を消した。日本が勝ったカメルーンもそうだ。世界屈指のストライカーであるエトーがいるのに、そこを上手く使えていなかったのは間違いなくコミュニケーションが不足していたからだと思う。
普段は別チーム、別戦術でプレーしている各選手達が短期決戦のために集められるのだから、僕が思っている以上にコミュニケーションと連携というものが大切なんだろう。
個別選手雑感
さて、四年後に今回のW杯を振り返った時に「あー、そうだったなー」と楽しめるように、記憶に残った選手について一言づつ。4年後にはこの中から何人が選ばれるのかなー。
GK:川島
前に出るタイミングと勇気が秀逸。PK戦も惜しい。読みは結構当たってたんだけど、拳一個分届きませんでしたね。その拳分が世界との差か。PKの時に「何かやってくれる感」は川口の方が上だったかも。
DF:中澤
良く代表復帰してくれました。恐らくこれが最後のW杯だと思うけど、悔いなくできたんじゃないかと思う。セットプレーからのボンバーヘッドを期待していたけれど、さすがにそこは相手国もしっかりマークしてたのが残念。
DF:闘莉王
中澤と並んで、二人がいたからここまでこれた。日本の要。あなたの「戦う魂」はドログバ(コートジボワール/チェルシー)の肋骨すらも粉砕しましたね。日本チームの「燃料」は間違いなくあなたでした。
柱谷-闘莉王の後を次ぐ「闘将」は誰なんだろう?
DF:長友
エースキラー。今大会までいまいち知らなくてごめんなさい。あなたの豊富な運動量が相手エースの攻撃を事前につぶしてくれました。今大会で世界からの評価を上げた一人だと思います。W杯終わった後の海外でも頑張って!
DF:駒野
一躍有名人。PKは外しましたが、蹴ったから外したのです。蹴ってない人達には何も言う資格はありません。かのバッジオでさえアメリカ大会決勝でPKを外したのですから。アナタがサイドをしっかり固めてくれていたから逆サイドで松井が好き勝手に動けたのです。長友も自分の仕事に集中できたのです。分かってる人は分かってくれています。
MF:阿部
仕事人。地味な守備をしっかりしてくれたからこそのオランダ一失点だったと思います。ただし、その一失点の時に一番ボールに近いところにいながらボールウオッチャーになっていたのを僕は見逃していませんよ。
MF:松井
どんだけお洒落なんだよ、アンタ。トリックスター。本番であれだけヒールを使えるのは日本でアナタだけです。パス、トラップ、ドリブルと、アナタがボールを持つと何をするか分からないので目が離せません。日本の固い戦略の中で、アナタだけが自由に動くことを許されているかのような華麗なプレーは、観ていて一番「サッカーは楽しい」と思わせてもらえるものでした。デンマーク戦のお洒落シュートも惜しかった。あれが決まってたら日本の子供達のスターだったと思います。
MF:遠藤
いつも飄々としていて僕の中では「中村(俊輔)のサブ」という位置づけだったヤットも、それを押しのけてフル出場でした。デンマーク戦のフリーキックは出来すぎだったとしても、全試合をしっかりとコントロールしていた集中力と飄々力に恐れ入ります。
MF:中村(憲剛)
もうちょっと観たかった。パラグアイ戦後半はかなり良いパスが前に出てたと思う。前線の選手が前を向けるような形でボールを出す視界とタイミングはもっと早い時間から使っていれば違った結果になってたかも。
MF:中村(俊輔)
足の怪我の回復が遅れて出番ほぼなし。オランダ戦で一瞬出てきたが見せ場ゼロ。交代後もまったくボールが回ってこなかった。色々と批判されるのは覚悟の上だと思うので敢えて言わせて貰うと、怪我の状況が芳しくないと自分で判断できた時点で辞退するべきだったと思う。諦めずに最後まで可能性に賭けるのも一つだけど、パフォーマンスを発揮できないようであれば辞退するのも一つの勇気であり方法だと思う。特に団体で動く時は。
MF:本田
無回転シューターの代名詞をC・ロナウドから奪った男。死ぬまでに100回くらいはあのフリーキックのVを見る機会がありそう。口はどうであれ、それを裏付ける練習量をこなしているのだろう。見栄えのあるプレーよりも、前線で常に走り回る体力と、トラップの上手さ、切り替えしの鋭さなど、地味なところが随分と目についた。特にトラップ。他の日本選手よりも明らかにワンタッチ分を省略できてたところが一人だけ「世界を見ているなぁ」と感じた。中田と対談してた時に言ってた「自分(エゴ)を出したプレーをしたい」というのが実践できたのかが気になる。
FW:岡崎
うーん、オランダ戦のワンチャンスが悔やまれる。アフリカくんだりまできたのはアレを取るためでしょ?パラグアイ戦ではゴール前でちょいちょい惜しいところもあったけど、ああいうところで決められるか否かが屁理屈抜きで求められるのだと思う。
FW:玉田
なかなかブラウン管でお見かけせず。森本を出してみても良かったのでは?
FW:大久保
こんなに大久保が良いと思ったことは無かったというくらい良かった。得点は無かったけれどね。Jではいつも悪い方向にエネルギーが出てるけど、W杯では違いました。献身的にボールを取りに降りてくるし、ボールを持っていないときでも相手が嫌がる動きをしっかりとしてた。彼が取ったファウルで生まれたチャンスもけっこうありました。彼が前で動くことで相手チームのビルドアップが多少遅くなって、結果的に守備に貢献しているという部分もあったと思う。
悔しいというのは次に繋がる
出られただけで大満足なフランス大会、母国開催でお祭りだった日韓、どうしようもなく現実の壁を突きつけられたドイツと違い、今回は「惜しい」だから「悔しい」という思いが残った人が多いのではないでしょうか?それだけ日本チームも世界と互角にやりあえる力を見せられたということです。今回そうだったってことは、今後もやれるはずなのです。もちろん他国も以前より多少は日本のことを研究してくるかも知れないし、試合前から油断することも無くなるかもしれません。それでも他国より少しでも力をつけられれば少しずつ差は埋めていくことができます。もう「感動をありがとう」とか言ってる場合ではないかもしれません。サポーター全員が厳しいチェッカーとなり、怠慢なプレーにはブーイングを、すばらしいプレーには拍手を送ることで、ヨーロッパ圏のような生活に根付いたサッカー文化が定着すると良いなと思います。そうすれば岡ちゃんが目指す「ベスト4」も夢ではないかもしれないな、と思うのです。