実験だったり、備忘録だったり、脳外ストレージ。

昨夜、妻が携帯で撮影した一枚の写真を見せてくれた。
見覚えのあるクルマの後姿。
ナンバープレートを見ると、僕らが以前乗ってたクルマのそれだった。
昨日、仕事終わりの僕を向かえにくる時に偶然見つけ、
しばらく後ろを走った後に信号待ちの際に写真を撮ってきたらしい。

それは僕らが結婚するよりずっと前に、妻が初めて買ったクルマだった。
当時はまだ僕と妻の二人だけで、あちこち出掛ける際は必ずこのクルマだった。
週末にはよく寝袋を積んで出かけては適当なところで車中泊をした。
僕と物理的に距離が離れていたしばらくの間、妻は一人で夜な夜なドライブに行ったりもしてたようだ。
その後無事に結婚する事になり、それぞれの両親にその報告をしにいく時に乗ってたのもこれだった。
その後僕の仕事が変わり、家族も増えることになり、このクルマでは色々と都合が良くないため別のクルマに乗り換えた。

このクルマとはあまりに色々な思い出がありすぎて、手放すその日、妻は泣いていた。
その妻は、このクルマと一緒に撮った最後の写真を、今でも大切にしまっている。

今のクルマと引き換えに誰かの手に渡ったそのクルマは、
あれから数年経った今でも、相変わらず僕らの周辺をうろうろしていたのである。

妻が擦ったリアバンパーはすっかり綺麗になっていたらしい。
どうやら新しいご主人様にもかわいがられている様子でなによりだ。

おい、元気で頑張れよ。ご主人様と仲良くやれよ。

新しいご主人様、大切に乗ってあげてくださいね。

それは、これを読んでるアナタかもしれませんよ、ご主人様。