これはこれ、それはそれ|朝青龍

今日は晴れの方向でお願いしたいフジカワです。こんにちは。だって多分今シーズン最初で最後のスキー合宿なんだもん。おまけに今シーズン初すべり。太もものプルプル確定です。

性格は別の問題

朝青龍は白鳳と違い、日本の文化と風習にフィットできなかった。もしくは自分自身をフィットさせられなかった。朝青龍も白鳳も、性格の問題なのでどちらも否定はできない。
また、「相撲」というものに対する考え方については、一般観衆は横綱を「伝統の担い手」と捉えているのに対し、朝青龍本人は「アスリート(仕事)」と捉えていた。それはそうだ。わざわざ海外からやってきたのだ。誰が好き好んで他国の伝統芸能を担う気になれようか。親方もスカウトする時には「強くなったらいっぱい給料を貰えて、好きなものを買って、祖国の家族にも親孝行できるぞ」とか言ったはずだ。

彼は恐らく正直な人間なのだろう。嫌なものは嫌。好きなものは好き。そうやって自分の感情をしっかりと表に出してきたからこそ、ここ一番の勝負では鬼の形相で相手をなぎ倒し、気持ちを抑え切れずにガッツポーズまで出したのだ。彼の強さの根源はあの「気持ち」にあったのだ。日本人だって以前は(いや、今もか)「精神論」が大好きだったはず。とにかく理論なく「気合だ」「気持ちで負けるな」とか言って。それがいつからか「気持ちを前面に出す」のを恥ずかしがってしまった。挙句、そうしている人をみると嫉妬して怒り出す始末。

世の中は彼が外国人力士だからバッシングしているわけではない。最近の日本人には見られない、ああいう人間性をもった人間だからバッシングされたのだ。逆に、かの人間性を持った日本人が存在しなくなってしまったから日本の国技である「相撲」の上位二席を外国人に奪われてしまったのだ。

今回の「ああいう人間性を持っていると、世の中に叩かれるぞ」というのを改めて確認させられた僕達日本人は、また一つ世界との壁を増やしてしまった気がする。本来であれば「今回の引退騒動の原因」と、「朝青龍のような人間性」は分けて考えるべきなのに、ひとくくりに報道されることで、「朝青龍の人間性全てが駄目」みたいな空気を感じる。

ハングリー精神

世界には「頑張ったものは成功し、富を享受する権利がある」という空気が存在し、そうやって成功した人間は莫大な富を築いている。スポーツ界だって例外ではない。アメリカ大リーグ、ヨーロッパの各サッカーリーグに代表されるプロスポーツ界では、シーズンオフになると巨額な移籍金を伴う一流選手の争奪戦が繰り広げられる。そういった世界で生き抜くためにはそれはもう想像できないほどのハングリー精神が必要なのだろう。

北海道の片田舎から大横綱千代の富士が出た時代は本当に貧しい時代だったのだと思う。貧困な生活から抜け出すため、全てを捨てて親方に身も心も預け、全てを捧げて相撲に取り組んだはずだ。失敗したら後がない。失敗しても故郷に帰られない。そういった強いハングリー精神を持って土俵に上がっていたはずだ。それが、国土の隅から隅まで豊かになってしまった今の日本に、当時の千代の富士と同じような気持ちで相撲に取り組めている日本人がいるのだろうか?「いる」という答えがあったとしても、モンゴルから来たずっと若い二人が横綱を取っていたこの状況をみると、「その考えは甘い」と思わざるを得ない。

なんだか「草食系」という言葉が流行っている(もう廃れ気味)けれど、そんな言葉に乗っかって平和な毎日を過ごしている日本を見てると、相撲だけじゃなく、仕事も、お金も、土地も、全てを「肉食系」を維持している海外に喰われる日はそう遠くないなぁと思ってしまう。結局ハングリー精神が足りないと、飢え死してしまうのだ。特に新陳代謝がものすごいスピードになっている現代では。

だからといって

暴力事件が事実なのであればそれは間違いなく悪いことだ。
やったことに対して償いをするのは当然だし、それが今回の「引退」というのであれば、それは止むなしだと思う。
ただし、だからといって「朝青龍が今までやってきたことの全ては『悪』だ」という考えではあまりに安易だとも思う。
若くして海を越え、一人努力を重ね、驚異的なスピードで横綱になったのだ。それは一般人には想像できないほどの苦労の連続だったことだろう。横綱になってからはちょっと稽古をサボったり、ちょいちょいモンゴル帰ったりしてたけど、そんなことではびくともしない基礎能力を若かりし頃に誰よりも身につけていたのだ。彼は誰よりも努力してきたし、努力できる人間だと思う。少なくとも文句ばかりを言ってる外野よりもはるかに。「これはこれ、それはそれ」だ。
それを認められないようだと、今後の日本はいつまでも海外に出ることが出来ず、ただただ日本が沈んでいくのを誰かのせいにしながら指くわえて待つことになるだろう。

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