「日本の恥」が日本の恥|若きボーダー

やっと足の筋肉痛が納まってきたフジカワです、こんにちは。今シーズン、もう一回くらいは行っておきたいなぁ。ちょっとチャレンジしたい事もあるし。

綺麗にマスコミの餌食に

全日本スキー連盟(SAJ)は10日、バンクーバー五輪スノーボード男子ハーフパイプ代表の国母(こくぼ)和宏選手(21)(東海大)が、現地入りした際の公式スーツの着方が乱れていたとして、日本選手団入村式への出席を自粛させた。

 国母選手は同日の記者会見で「反省してます」と述べた。

 国母選手は9日に成田空港から出発した際、公式スーツのズボンを、若者に流行の「腰パン」と呼ばれる腰骨よりも低く下げたはき方をし、シャツのすそを出してネクタイを緩めていた。鼻にピアス、サングラスもしていた。
スノボ国母「腰パン」で注意…「反省してま~す」 : 運営・話題 : ニュース : バンクーバー五輪 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

ま、彼の振る舞いについては日本人としては良くは無いと思うけど、
ここまで綺麗にマスコミにネタを提供してあげるストレートさに拍手。
彼としてはホントに「どーでもいい」ことなんでしょうね。
競技で結果を出すことが目的。その過程の一つとして「彼らしくあること」が重要。
そりゃ誰もツッコまないわけないじゃん。周りの選手やスタッフだって一声掛けたと思うよ。
でも、「どーでもいい」ことだったんでしょうね、そんなの。
別に叩かれることも平気。文句言われるのも平気。応援されないのも平気。

日本の恥って本当か?

で、こういう人が出てくると決まって使われるのが「日本の恥」って言葉。
でもさ、これ本当か?誰が恥かいてるの?日本人全員?誰からそう思われるの?
僕が海外で会った「日本人じゃない人々」は、誰かの振る舞いを見てその人の母国全体を評価するようなことはしませんでしたよ。
その人のパーソナリティーは評価しても、その出身国の評価と直接結びつけるようなことはしませんでした。パーソナリティーは各個人の問題であって、国の問題ではないと認識しています。そりゃそうです。その人の性格が「国のせい」なわけないもんね。
これが僕が海外で強く感じたことの一つでした。
たまたま居合わせて、少しの時間を共有した海外の人からその人の出生国の評価なんてできるわけがない。「偶然電車の席でとなりだったイタリア人がマフィアだったからイタリア最悪」なんて話にはならないでしょ。
「日本の恥」って思ってるのは日本人だけで、海外はそんな風に彼を見ていないと思う。
恐らく「お、なんかオモロイかっこした奴がおるぞ」くらいだと思う。

日本古来の恥システム

一方、島国日本はかつての長屋システム、五人組から始まる昔からの連帯責任システムが色濃く残っているんでしょうね。国境を跨ぐこともなく先祖代々その土地に根を張り、長く生きてきた日本人にとっては、周りとの調和を強く意識します。
誰かのミスは皆のミス。誰かの罪は皆の罪。誰か一人だけがやらかしたことに対して、周りは「あそこの集落は…」とか「あそこの長屋は…」とか言い始めるようになった起因です。
「誰かのネガティブな行為」をその母集団で被り、その母集団で責任を取るというシステムはその後も拡大し、今では国全体で責任を取らねばならない自体になったようです。
国それぞれが独自の文化とルールで完結していた時代は十分に効果のあった素晴らしシステムでした。

「日本の恥」が日本の恥

そんな「日本の恥」システムだけど、ヒト・モノ・カネが地球全体を行き来するグローバルな現在、その誰かを非難する風習がもはや「日本の恥」だと思う。
そんなことでマスコミを中心に日本中で騒いでいること自体、日本人が
「私達日本人はたまたま見かけた海外からの来日客を見て、その出生国自体を判断しますよ」と世界に向けてアピールしているようなもんだ。

良い形でシステムの再構築を

防犯効果や助け合いという意味では長屋のような地域連携システムは非常に良い機能だとは思うし、
各個人の問題とはいえ、彼の服装は褒められたものではないかもしれない。
ボード界ではああいうルーズな雰囲気が好まれるのは理解できるけど、パブリックな場所でする格好としてはふさわしくないし、かっこ良くないとも思う。
そこは否定しないけど、それをここぞとばかりに「日本の恥」といって騒ぎ立てる格好のネタになっている日本は、それ以上にかっこ良くないと思うのであります。

日本古来から受け継いでいる「恥の文化」と呼ばれるものはとても奥ゆかしくて良いものだ。日本が海外に誇れる唯一の文化ですらあると思う。
しかしながらそれに雁字搦めにされて身動きできなくなってしまってはその良さが失われてしまう。
世界を見て、人を見て、より良い関係性や評価をできるような基準というものを改めて考えることがこれからのグローバル化には必要なのかな、と思った一件でした。

2個のコメントあるよ

  1. mixiからとんできました!こないだはお疲れ様でした^^

    実はこの国母選手がまだ14歳の頃からファンで、自分のホームページ名も彼の得意技から付けたりする程でした。

    他の国からの、また違う見方にハッとしました。確かにそうですよね。ハッキリした筋の通った意見、素敵ですね。mixiのニュースにコメント日記が沢山掲載されていますが…このニュースへの感想、悲しくて見ていられませんでした。

    お互いに認め合ったり、許す事、相手への想像力も大切な気がしました。

    ワーホリblog、楽しく見てます^^★

  2. >コヂ
    おつかれー。
    実はこの選手、知らなかったのです(汗)。
    なんか冬季五輪は僕の中ではイマイチ盛り上がりに欠けてしまい、
    気がついたら終わってた、ってのがいつもの流れでして。
    今年は見るよー。こやつを。
    こうやって注目集めて結果出して、帰国後にメディア出始める。
    そんなシナリオを最初から描いていたとしたら、こいつ、大物だ。

    「日本の恥」って思ってるのは日本人だけで、
    それはもう、完全に自分達の価値基準と評価基準に、
    自分達自身が苦しめられてるだけだと思います。

    そういう意味ではサッカーの中田とか本田とかはグローバルだね。
    日本のメディア受けはあまり良くなかったのがその証拠だと思う。

    あ、そうそうHP持ってるならURL教えてよー。
    twitterとかもね。
    mixi経由でいいから連絡ちょうだい!!

    また山行こうねー。

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