日本だってまだまだいける|基礎力

いきなりだけど、日本って「基礎力」がすごいなと思うわけです。
国自体の「国民が生活する基礎となるインフラを構築する力」だったり、
各企業の「直ぐにはお金にならないけど、基礎研究を地道に継続する力」だったり、
それらを支えている個々人の「基礎を身に付けるために継続して努力する力」だったり、
そいう「基礎力」のことです。
今はともかく、かつての日本が、です。

海外に行くたびにそう感じます。

例えば治安。日本ほど安心して夜の街を徘徊できる国はいままで経験ありません。国民生活を守る治安インフラは相当なものです。守る側と守られる側、両方の高い意識がこの安全を支えているのだと思います。

例えば生活インフラ。上水道は蛇口を捻れば美味しい水が出てくるのは日本の当たり前ですが、海外ではペットボトルの水を飲むのが当たり前です。下水道についても日本は清潔で、自宅の水周りは当然ながら道路を歩いていても下水道の臭いをほとんど感じません。海外、特に東南アジアの途上国ではいたるところで下水道の臭いがします。日本に追いつけ追い越せで、一部分野においては既に日本を越えている感すらあるお隣の韓国でさえ、ホテル内のバスルーム等で下水道の臭いを感じることがありました。
電気についてもそう。オーストラリアにいた頃に停電が絶えない時期があり、あまりの管理不十分が原因で市長がクビになったりしてました。これについては急に暑い気候が続いたために各家庭がクーラーを使いまくったから、という自然災害的な側面はあるのですが、日本ではそんなことはまずないでしょう。もし仮に電力不足になる恐れが出た場合は事前の輪番告知とともトラブルを最小限に抑えるオペレーションをするでしょうし、その辺は去年証明済みですよね。ま、混乱がゼロだったとは言えませんが、全回線同時停電(ブラックアウト)は未然に防ぐことは出来ました。東南アジアにいたっては停電なんて生活リズムに組み込まれてるレベルです。

例えば道路。こんなに走りやすい国はありません。僕が子供の頃にはたまに見かけていた未舗装道路なんて今ではほとんど見かけません(私道除く)。どこに行っても、どこまでいってもそのほとんどは舗装路です。ま、「それだけお金使ってるぜ!」って話の裏がえしでもあるんですけどね。あるデータによると日本が道路に使っている年間予算は「イギリス・フランス・ドイツ・イタリア4カ国の年間予算×2」にほぼ等しいそうで、この狭い国土にそれだけの予算を投下すれば立派な道路にならないほうがおかしいという話です。一方の東南アジアでは空港と都市中心部、そしてそこから各都市を結ぶ幹線以外は未だに未舗装が多いです。ラオスやカンボジアなどでは首都の一部を除いてほとんどが未舗装と言ってよいくらいでした。タイのバンコクからカンボジアのシェムリアップまでの数百キロ、国境をまたいでトラックの荷台で揺られたときは数回死にかけました。ついでに道途中の橋が川の氾濫で破壊され、迂回するのに数時間という素敵な治水インフラにも遭遇するというおまけ付き。

例えば産業。日本経済に元気が無いと言われて久しいですが、その技術力の高さはいまだ世界トップクラス。経済的なダメージのほとんどは途上国の安い労働力に押されているのが原因であり、技術面の高さでいえば遥か天と地ほどの違いがあります。特に電子部品については製品のコアとなる部分は未だ日本の技術抜きでは成立しませんし、諸外国にマネできるレベルではありません。こういった技術の多くは地道な基礎研究開発の賜物であり、また、一朝一夕で身につくものではありません。一つの企業で一つのテーマに長く携わっていける環境を企業が提供し続けてきたこと、そしてたとえそれが短期的な利益を生まなくても長いスパンで取り組み続けてきたこと、つまるところ終身雇用制度の良い面がこういった面で現れているのだと思います。しかしながら株主のプレシャーがきつく、短いスパンで目に見える利益を出すような企業経営が必求められている現在、中長期的な視野が必要な事業や、利益を生まない(性質の)部門の予算確保がしにくくなっているのは今後の事を考えると少し心配です。

例えば人材。基礎研究やインフラ構築というのは設計段階からの取り組みを含めて、あまねく根気が必要です。それは国民性といえばそれまでですが、しっかりとした気持ちでそういうことに取り組み続けることができるということはすばらしいことだと思うのです。国民性と一言で括る以上に、各個人が努力しているのだと思うのです。今は「世界に輩出できる人材を!」みたいなこと言われていますが、そんな人材は作ろうとして作れるわけではないですよね。もちろん作ろうとしないと作れませんが。それも大切ですが、地に足を着けてしっかりと前に進む必要性と方法を知っている人材というのも国や企業、地域や家庭レベルは必要なわけです。

例えば教育。なんだかんだ言ってもしっかりと整った義務教育システムで、ほぼ全ての国民が一定レベルの教育を受けられているというのは何より幸せなことだと思います。

当たり前な環境すぎて、この国に生まれ育って感謝する機会ってなかなか無いけれど、比較対象があると多少は今日の日本の為に尽力してきた多くの方々に感謝したいなと思うのです。今の日本に生きて、未来の日本の舵取りをする僕らは、子供や孫、ひ孫世代に感謝されるような事をできているのでしょうか?

なんてことを週末のラジオでやってた海外観光番組を聴きながら、ふと思ったのでした。

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