完熟スイカの末路|ワーホリログ061
スイカは収穫されてから都会までロードトレインで輸送されていきます。
当然時間が掛かるため、畑で「食べごろ」のスイカは出荷できません。
店頭に届く頃にはグズグズになってしまうので。
というわけで、収穫した時点で熟しているものは容赦なく廃棄処理されます。
トラクターの後には出荷組に入れてもらえなかった来年の肥やし組が列をなします。
労働者達も仕事にこなれてくると、これから収穫する目の前のスイカの熟成具合が分かるようになります。
せっかく重たいものをコンベアーに載せても、途中でベテランさんに「ポイッ、グシャッ」ってされてしまうので、必死にスイカの外見で熟成具合を判断する術を覚えようとするのです。無駄な体力を使わないように。
そんなわけで畑にある時点で完熟してしまったスイカは、労働者達の午前中の水分補給の糧となります。
完熟のスイカは、ナイフで一刺しすると、中のみずみずしい圧力で、勝手にパカッと割れていきます。そしたら種の内側にある一番真っ赤で一番甘い部分だけをナイフでくりぬいて口に放り込むのです。ちんたらしていると動き続けるトラクターに置いてかれるので余計な部分を食べてる暇はありません。
というか、写真の通り完熟スイカは頻繁に登場するので無理してひとつのスイカに拘る理由はありません。本当においしい部分だけを頂くのがルール。
ただし、スイカを食べられるのは午前中だけ。午後になると生ぬるーい甘さが口いっぱいに広がって疲れが倍増するので注意しましょう。
普通の日本人が生涯で食べるスイカを、ここで働いている間に食べきった感があります。
しばらくはスイカを食べる気になりませんでした。